Automobile Prices in Market Equilibrium

Automobile Prices in Market Equilibrium
Steven Berry, James Levinsohn and Ariel Pakes
Econometrica, Vol. 63, No. 4 (Jul., 1995), pp. 841-890


Berryの論文とセットアップは同じ。というか、Berryの論文がこの論文の解説論文になっているので、元論文を読んだ感じ。
http://d.hatena.ne.jp/econometrica/20090902

Utility Functionで異なるのは、Householdの所得分布も分かっているからそれをモデルに取り入れている点。
以下のUtility Functionを想定し、対数をとった形で推定している。
 U_{ij} =(y_i-p_j)^{\alpha}G(x_j, \xi_j, \nu_i)e^{\epsilon _{ij}}
 log U=u= \alpha \ln (y_i-p_j)+x_j\bar{\beta} +\xi_j +\sum_k \sigma_k x_{jk}\nu_{ik}+\epsilon _{ij}
また、Outside Goodとして
 u_{i0}=\alpha \ln y_i+\xi_0+\sigma_0 \nu_0+\epsilon_{i0}
を考える。
需要の部分はBerryの論文と一緒なので省略。

Supply Sideについて。
まず、限界費用関数を、観察できる特徴、ガンマ、と観察できない特徴、オメガによって以下のように表せると仮定する。
 \ln mc_j = w_j\gamma +\omega _j
以上のもとで、企業fの利潤は
 \Pi_f =\sum (p_j-mc_j)Ms_j(p,x,\xi;\theta)
とかける。企業は価格を自由に決められるとする。内点解を仮定すれば、FOCが以下のようにかける。
 s_j+\sum(p_r -mc_j)\frac{\partial s_r}{\partial p_j}=0
Matrixで書きなおせば
 s(p,x,\xi;\theta) -\Delta (p,x,\xi;\theta)(p-mc)=0
 b(p,x,\xi;\theta)\equiv \Delta (p,x,\xi;\theta)^{-1} s(p,x,\xi;\theta)
とおけば、
 \ln (p-b)=w\gamma +\omega
が成り立つ。
注:Just as in estimating demand, estimates of the parameter can be obtained if one assumes orthogonality conditions between omega and appropriate instruments.とあるが、なんでOLSじゃだめなのかよくわからなかった。bとオメガは相関してるかもしれないみたいなことが書いてあったけど、オメガとwが相関していなければいいんじゃないかとも思った。

需要、供給両方において、Instrumentとしては  z_j=(x_j, w_j) を用いる。つまり、以下を仮定する。
 E(\xi_j \mid z)=E(\omega \mid z)=0
注:これはもっともらしい仮定なのだろうか。zからjの分を抜けばそうかもしれないが、品質の高い製品ほどデザインもこだわってるみたいなzとUnobservablesとの相関ももっともらしいと思う。Berryの論文では他の製品の品質をInstrumentとして用いるみたいなことが書いてあったから、僕の勘違いかも。


推定にはGMMを用いる。
仮に、  (\xi, \omega) が直接計算できるとする。
 E((\xi_j, \omega_j)'(\xi_j, \omega_j)\mid z)=\Omega(z_j)
 T(z)'T(z)=\Omega(z)^{-1}
とすると、
 G^J(\theta)= E\left( H_j(z)T(z_j)(\xi_j, \omega_j)'   \right)
は0になる。よって、サンプルで置き換えた
 G^J(\theta; s^0,P_0) のノルムを最小化するものをEstimatorとすればよい。実際、観察されるシェアは真のシェアにルートnの早さで近づくので、そこも観察されるシェアで置き換えればよい。


実際のComputationのアルゴリズムは以下のようになる。
各シータ(パラメータバリュー)について
(1)SimulationでモデルからImplyされるマーケットシェアを推定する
(2)Demand sideのUnobservableについてImplied ShareとObserved Shareからとく
(3)Cost sideのUnobservableについてもとく
(4)GMMの目的関数を構成する

(1)について
まず、ニューの値で条件付けして普通のロジットのモデルからインプライされるシェアを計算する。
それをニューに関して積分してモデルから導かれるシェアが求められる。しかし、この積分は一般的には解析的には解けない。
そこで、ニューの値をシミュレートして求める。(シミュレーションの方法にも議論が本文にあるが割愛)

(2)について
「モデルから導かれるシェア=実際に観察されるシェア」の関係を使う。
 s_n=s(p,x,\delta, P_{ns},\theta) \Leftrightarrow \delta = \delta +\ln s^n-\ln s(p,x,\delta, P_{ns},\theta)
が成り立つ。そこで、以下の関数を定義する。
 T(s,\theta, P)(\delta_j)=\delta _j+ \ln s_j -\ln s_j(p,x,\delta, P_{ns},\theta)
これがContraction Mappingになっていることが示せる。
よってRecursiveに解くことでデルタの値を求めることができる。
デルタが求まれば
 \xi_j(\theta, s,P)=\delta_j(\theta, s,P)-x_j\beta
からUnobeservableを求められる。

(3)Markupについてとく。マーケットシェアを価格で偏微分することが必要になる。

Optimal Instrumentの話は知らないから無視した。

以上のようにしてRandome Coefficientモデルが推定できた。
他のアプリケーションであるNevoの論文も読んでみようとおもった。