The winner's curse, reserve prices, and endogenous entry: empirical insights from eBay auctions

P Bajari, A Hortacsu - RAND Journal of Economics, 2003

オークション参加人数の仮定に関して文献調べてて読みました。実は昔読んだんだけど、内容を思いだせなかったので反省の意味もこめてブログ記事にします。


この論文では、e-bayに出品されているコインのオークションのデータを使って、

  • 共有価値(Common Value
  • Endogenous Entry

なモデルを構造推定している。

まずこのオークションがCommon Value Auctionであることを、Reduced Formのリグレッションで示している。
2ndプライスオークションでは、Independent Valueであれば入札は自分の真の価値をそのまま入札するのが弱支配戦略でありオークション参加人数と独立である一方、Common Valueの場合はオークション参加人数が増えると(Winner's Curseを避けるために)弱支配戦略での入札額は下がる。

よって、入札額を実際の入札人数に回帰して、その係数が負か0かみることでオークションが独立価値か共有価値かを判断できる。実際結果は有意に負になっている。

イーベイはSequentialなオークションだが、オークションが共有価値だったら最初の方に入札するのは無駄だろう。実際、ほとんどの入札が終了直前に行われる。なので、理論的に直前にみんなが同時に入札するのが対称なBayesian Nash均衡になっていることを示して、フォーマルに封印入札第二価格オークションで分析することを正当化するようなPropositionを用意している。



実際の構造推定にはいる。

  1. 潜在的な入札者をN(=∞)とする。
  2. 各Potential Bidderは入札を決意するとコストを払う。
  3. コストを払ったのちに私的情報を得る。
  4. 実際の参加人数の分布を考慮しつつ弱支配戦略をBidする

というようなモデルで、Potential Biddersは事前の期待利益が0になるまで参入するような内生的なエントリーを考える。

入札者は事前には対称なので、「コスト=オークションからの期待利益」という条件がなりたつように全員が「確率pで参加する」というような混合戦略均衡を考える。
pはオークションのキャラクタリスティックスで決まってくる。

上のようなモデルは実際の参加人数に関してポアソン分布を当てはめるのと同じである。もちろんポアソン分布のパラメータがオークションのキャラクタリスティックスで決まってくるわけで、構造推定ではそこを推定する。

実際には「コスト=オークションからの期待利益」という部分からポアソン分布のパラメータは解析的に特徴づけられるが、複雑なのでこの論文では誘導系でポアソン回帰的に推定している。

そこでの推定値を用いつつ、財の価値の事前分布を正規分布と仮定する。また私的情報にも正規分布を仮定する。
あとは、入札額の分布から私的情報の分布への一対一の対応があることを示して、尤度を書いて、MLEで推定というお決まりのパターン。

結果も興味深いが省略。