自分用メモ

毎日新聞 2009年2月21日 東京朝刊

セブン−イレブン:値引き制限調査 コンビニ商法に逆風 加盟店の負担重く

 ◇商品廃棄損失、加盟店の負担重く
 コンビニ最大手セブン−イレブン・ジャパンが、公正取引委員会の調査を受けている加盟店の値引き販売制限は、「業界では半ば慣行化している」と指摘されている。値引き販売をいったん容認すれば、値下げ競争などに発展し、好業績を続ける各社の収益に打撃となりかねないためだ。ただ、値引き販売をできずに商品を廃棄した場合の損失は加盟店の重荷となっており、各社は今後、廃棄損失の負担問題などで新たな対応を迫られそうだ。【小倉祥徳、望月麻紀】

 今回問題となったのは、賞味・消費期限切れで売れ残る可能性のある弁当やサンドイッチなどの販売方法。売れ残った場合、原価分の損失は加盟店が負担する仕組みになっており、加盟店側は損失を少なくするため値引きしてでも売りたいのが本音だ。コンビニの既存店ベースの売り上げは07年まで8年連続で前年割れし、廃棄損失に対する加盟店の負担感は年々増していた。

 20日会見したセブンの顧問弁護士は「消費者は価格ではなく、新鮮な商品の提供をコンビニに求めている」と強調。値引き合戦になれば本部だけでなく加盟店の収益も圧迫し、「コンビニのビジネスモデルが崩壊する」(国内証券アナリスト)との指摘もあり、各社が値下げ販売するのはバレンタイン商戦で売れ残ったチョコレートなど一部商品にとどまっているのが実態だ。

 コンビニ業界では、たばこ自販機用成人識別カード「タスポ」を持たない喫煙者がたばこを買うため来店する「タスポ効果」で販売好調が続くが、効果は一時的との見方も根強い。深刻な景気後退で消費不振が日用品にも及ぶ中、コンビニ本部と加盟店の双方が経営を安定化させる手だてが求められている。

 小売業界に詳しい清水倫典・キャピタル・パートナーズ証券調査部長は「本部が廃棄に伴う損失の一部を負担するのも手法の一つ」と指摘する。売れ残り食品の廃棄は環境面からの批判も多いだけに、廃棄そのものを少なくするための対応策も求められそうだ。