うんこな環境づくり

某月某日 日曜日
土日が終わってもいまいち疲れが残ってる感じがする。
学期も終わりに近づいてくると、土日休むだけでは疲れがとれないな。

東大に4年半通って学んだことは「面白いことは起こそうとしないとなかなか起きない」だ。
こっちきたばかりのころは、何もしなくても面白いことが起きたので、ちょっと甘えていた。
なにもしなくてもインド人が便座にうんこするなんていう奇跡に期待しないで、僕も努力しなくては。

「面白いこと」といえばうんこのことだろう。さっそく明日クラスメートとうんこの話でもしてみよう。

某月某日 月曜日
さすがの僕もいきなり「君うんこ好き?」(脚注)とは聞けない。日本人は頭がおかしいと思われかねないし。やっぱり文化的興味を装ってうんこの話を持ち出すのがいいだろう。

でも、ちょっと今日は勇気が出なかった。明日頑張ろう。

某月某日 火曜日
「うんこの導入には落書きだろう、できることなら向こうから話しかけてくれるとうんこの話もしやすい」と思ってノートにうんこの落書きをして隣の人の興味をひこうとした。でもいっこうに気づいてくれない。ひょっとしたら気づいているけど、気づいていないフリをしているだけかもしれないが。ちょっとリスキーな戦略だったようだ。

某月某日 水曜日
しょうがないから休み時間に僕から切り出した。
「マクロの授業退屈だよね。そういえば子供のころって退屈なときに教科書とかノートとかに落書きするけど、アメリカではそういうときにどんな絵を描くの?」
クソ面白くもない回答をされたが、
「へー、日本ではみんな必ずうんこの絵を描くんだよ。文化の差かな?」って答えてみた。
ちょっと勇気がでなくて、「日本ではみんな必ず」って言ってしまった。まぁ、僕だけ頭おかしいと思われるよりは、日本人全員頭おかしいと思われるほうがいいだろう。

でも、いっこうに興味はもたれなかった。
「僕はうんこの絵は描かないけど、君たちが描きたいなら好きにすれば?」だって。
”落書きする”は「Doodle」、”好きにすれば”は「whatever floats your boat」。今日も英語の勉強になった。

某月某日 木曜日
一回ダメだったぐらいではへこたれない。「大事を成す者は最期の最期まであきらめないものだ」とは石田三成の言葉。まぁ、結局大事は成せてないが。

今日は違う角度からアプローチしてみた。
アメリカの大統領選挙って世論が二分されておもしろいよね。もっとくだらないコトでもそういう質問って色々あるよね。オレンジが好きかリンゴが好きかみたいな」ってゆるい導入でせめてみた。
アメリカっぽいそういう究極の二択ってどんなのがあるの?」って聞いてみた。

「うーん、”ジェニファー・ロペスアンジェリーナ・ジョリー抱けるとしたらどっち抱きたい?”って質問ならされたことあるかな。」
だって。相変わらずアメリカ人の回答はクソ面白くもない。

「へー、そうなんだ。それは絶対アンジェリーナ・ジョリーだね。日本では究極の二択と言ったら、”カレー味のうんことうんこ味のカレーだったらどっち食べる?”なんだよね。日本だったら、自己紹介の次ぐらいには聞くかな。ちなみに僕はうんこ味のカレーだけど、君は?」

って聞いてみた。カレー味のうんこの方がいいらしい。一応普通に会話してくれていたが、心なしか「三方原戦役像」の徳川家康みたいな顔していた。


(注):ちなみに元ネタは「僕の彼女はサイボーグ」の中の台詞。