Selective Trials, Information Production and Technology Diffusion
S Chassang, GP i Miquel, E Snowberg (2009) unpublished

同じオフィスのマイクロセオリストに「計量とミクロに興味がある」って言ったら薦められた論文。
内容はかなり一般的なので、具体的に内容を要約。

Status QuoとNew Treatmentがあったとする。New TreatmenのEffctivenessは、全員に共通の効果、Unobserved Individual Heterogeneityに依存して、しかも各個人がどれだけ努力をするかにも依存してるとする。
努力にはコストがかかる。
各個人は全員に共通の効果がどれぐらいかについて(各自別々の)信念を持っている。また、他の個人の信念についての信念も持っている。


ある個人がTreatment Groupに入れられたとき、彼女はどれだけの努力を払うかを、自分のIndividual Heterogeneityを観察したうえで平均的な効果についての信念の元で自分の効用を最大化するように決める。


ここで、二つのTreatment Ruleを考える。
1.各個人をランダムにStatus QuoかTreatment Groupに割り振り、結果を観察する。
2.各個人にメッセージを提出させ、そのメッセージに応じてTreatment Groupに入る確率と、金銭的なトランスファーを決める。

この論文では、1より2の方が得られる「情報」が多いと論じている。
ここで、注意が必要なのは「情報」の定義。パラメータの識別力とかではなくて、

あるメカニズムから得られる統計量を別のメカニズムから得られる統計量から再現可能なとき、後者をよりInformativeなメカニズムとする

っていう感じ。

カニズムデザインをTreatment Ruleに応用することで、各個人のPayoffに関する情報はExtractすることができる。ただ、それがIdentificatio Powerを持つかどうかはよくわからない。
「ある一定以上のExpected Payoffの人が必ず最大限努力する」みたいな性質のあるモデルであればIdentification Powerがありえる。
これはHeckman(1990)のIdentification At Infinityの議論に似ている。

一応Identifyできる必要十分条件みたいなのが出てたけど、それがRandom Treatmentに比べてより識別力があるのか、ないのかっていう点に関しては全く触れられていなかった。
この分野は本当に最先端っぽいよって紹介されたので、この分野が流行るなら
・どういう状況ならランダムトリートメントよりSelective TrialがよりIdentification Powerを持つか
とかを考えたら論文になるんじゃないかと思った。


後半の内容は、
そのトリートメントの結果を確認した上で、各個人が
・その技術を導入するか
・どれだけ努力をするか
を決めるときの性質とかについて書かれてたんだけど、飽きて読まなくなった。