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The incidental parameter problem since 1948
T Lancaster - Journal of Econometrics, 2000
Orthogonal parameters and panel data
T Lancaster - The Review of Economic Studies, 2002
Panel Data + Unobserved Heterogeneity (Fixed Effectとか)って意外とわかってないこと多いっぽいと思って読んでみた。実は二本目の論文は読んでないけど。
一般の非線形モデルでIncidental Parameter(≒Fixed Effect)があるときには、Structural ParameterもConsistentに推定できるかは微妙な問題。
Fixed Effectがある場合、一般的に最尤推定法はInconsistentであることがある。なので、一般にはIVやOrthognality Conditionを使ってGMMで推定することが多い。一方で、Likelihood Basedな方法で推定するのが著者の方針っぽい。
Lancaster(2002)の方は、より具体的な方法を述べてるんだと思う。Lancaster(2000)はサーベイなので、そっちだけ読んでざっくりまとめてみよう。それでも10年前の論文なので、もうOut of Dateなのかもしれないけど。
まず、Incidental Parameterとはなにか。Newman and Scott(1948)で指摘された問題らしいのだが、以下のような例を考えよう。
,
無限に多くの変数のDensityに影響を与えるパラメータをStructural Parameterと呼び、有限の変数にしか影響を与えないパラメータをIncidental Parameterと呼ぶ。ここでは、シグマが前者で、アルファたちが後者。
アルファをConsistentに推定することは絶望的だが、ここではシグマのMLEもConsistentでない。このように、構造的なパラメータの推定にも問題が生じるのがIncidental Parameter Problemと呼ばれる問題である。
解決策として、Incidental ParameterをStrucural Parameterを所与としたときのMLEで与え、それを代入しなおしてStrucural ParameterをMLEで推定するっていう方法もあるらしいのだけれども、あまりよくない方法らしい。Inconsistentだったり。(代入し終わった後のLikelihoodを求めることを、Concentrating the likelihoodとか、Constructing the profile likelihoodとか言うらしい。)ex.Cox and Reid(1987)
そこで、このペーパーでは二つの方法を紹介している。ひとつはConditional Frequentistな方法で、もうひとつはBayesianな方法である。(あと、それのMix)
1.Conditional Frequentist
もしLikelihoodが
とかければ、Loglikelihoodのクロスパーシャルデリバティブは0になるので、Sでコンディションしたラムダが入ってるほうのLikelihoodだけ最大化するようにラムダを求めればConsistentなMLEがラムダに関しては求められる。
その似たバージョンで、全然直感的ではないが、以下の場合もアルファが入ってないほうのLikelihoodだけ最大化すれば一致推定量が求められるらしい。
Lancaster(2002)では、それをもう少し一般化した方法を提案しており、
とReparameterizationして、
を満たすことができれば、近似的に上の三式のように尤度が書けて、Consistentに推定できるらしい。
2.Bayes
Incidental Parameterに適当なPriorを置いて、Integrate outすればいい。UninformativeなPriorを置くとよかったりするらしい。よくしらない。でも、もちろんPriorの置き方によってConsistentだったり違ったりするらしく、特定の問題でどんなPriorならConsistentになるかとかはわかっていなかったりするらしい。
最後にオープンクエスチョンっぽい分野とか話題について。
・Dynamic Binary Data Models with Fixed Effectってあんまり研究されていないらしい。特にLinearじゃないとき。
・Semiparametric Models with Fixed Effectもあんまり研究されていないらしい。Manski(1987)が引用されててちょっとテンションあがった。
・Conditioning on the realization(つまり各アルファたちに関して条件づける)んじゃなくて、Conditioning on the (unknown) Function of distribution(アルファたちのDistに関して条件付ける)っていう方向のExtensionもあるんじゃないかっていう話がチラッと載ってた。